性同一性障害の当事者は全員、性別適合をしないといけないのか?
私自身は、自分が性別不合(性同一性障害)で、「頭が男、体が女の状態にある」と気づいたのが20代後半と遅かったため、その頃には本来の性別の男性より、身体の方の性別の女性の方で生きることにすっかり慣れてしまっていました。
また自分の本来の性別が男の方だと気づいた時は、性同一性障害に関する知識がまったくなかっため流石に焦った覚えがあります。同時に、自分は「性同一性障害の人で、性別適合手術をしてないバージョン」なのだなと悟りました。
本来の性別が男の方だと分かったのに、黙って女の身体で生きることは犯罪なのか……?(笑)
あの当時はまったく未知の世界でしたね。
性別適合手術をしない当事者もたくさんいる
Twitterを通じて、性同一性障害や性別違和のある当事者の方と何人もお会いしました。
- 性別適合手術はせず、戸籍は女性のままだが、男性を自認していて、男性として生活している人
- 性別適合手術はせず、戸籍は男性のままで、男性として仕事をしているが、女性を自認していて、プライベートでは女性の格好をしている人
など、結論から言うと、性同一性障害だからこうしなければいけないということは全くなく、人それぞれだということが分かりました。
自分が性同一性障害の当事者だとしても「黙っていれば何も問題ない」が大原則です。
なので、むやみやたら「自分は性同一性障害だ」と言う必要はありません。
性別適合手術をするメリット・デメリット
自身の経験や、他の方の体験談を踏まえて、性同一性障害や性別違和のある人が性別適合手術をするメリット・デメリットを上げていきます。
性別適合手術をするメリット
性別によって前に進めない状態を打破することができる
多くの性同一性障害の当事者は、「身体の性別に邪魔されて、前に進めない状態」に苦しんでいます。
戸籍の性別で生きることが困難、仕事に就けないといった一刻を争う状態、性別適合手術を行い、前に進める状態になることが一番重要です。
手術に多額のお金がかかるとしても、一度しかない人生の中で、自分ではない自分で生きなくてならない状態で苦しんでいる時間はもったいないと私も感じています。
戸籍の性別を変えることができるため、「婚姻届」を出すことができる
FTMの方の中では、パートナーの女性と結婚するために戸籍変更を行うという方は多いです。
残念ながら日本では同性婚が認めていられないため、女性の戸籍のままだと、女性と結婚することはできません。なので同性婚が認められれば、性別適合手術をする人は今より減ると思われます。
性別適合手術をしないメリット
親しい人や周囲の人間と揉めずに済む
性別適合手術をしない一番のメリットはこれだと思っています。
親など親しい人間と揉めずに済むこと。私が性別適合手術をしない一番の理由です。
しかし、果たして自分の本来性別(男)が、見た目の性別(女)と、中身と見た目が食い違った状態で生きることなんてできるのか……。
私自身、この問題が非常に悩ましかったですが、「自分という存在を性別以外の場所に置いている人」、具体的には、クリエイティブ関連の仕事やデータサイエンティストなど、特定の業種で専門知識で専門知識を持っている人だと性別適合してないケースが意外と多いです。
また性別適合をしないのであれば、性別のことで悩まずに済む環境を自分で見つけるのがよいと思います。
性別適合手術のお金がかからずに済む
一般的に性別適合手術には150万?200万程度お金がかかると言われています。
手術以前に、毎月のホルモン注射代も馬鹿になりません。
お金がなくギリギリの状態で手術をしようかどうか悩むのではなく、どうしても戸籍の性別を変えないといけないタイミングまで待ってみてもいいのかなと思います。
まとめ
性同一性障害の方の中では、以下に早く性別適合手術ができるかということが重要視されがちですが、「性別適合手術しないで済む道」を見つける人ももっと増えてほしいと考えています。
私自身、見た目は女性だけど、男性ホルモン注射の影響で声は男性なのですが、そんな状態でも意外と生きられるということに自分自身が驚いてます。
とても簡単なことです。「自分というものは自分で作ってよい」のです。
これに気づいてから前よりずっと生きやすくなりました。
「誰かと比べての自分」ではなく、「自分がつくった自分」で生きてほしい、そう願っています。
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