性同一性障害が気持ち悪いと思われてしまうのはなぜ?話し方一つで相手の印象はだいぶ変えられる

性同一性障害だとカミングアウトすると気持ち悪いと思われてしまう理由

他人に、自分が性同一性障害ということを正直に話してしまうと「気持ち悪い」といった反応をされるということはよくあります。

なぜ気持ち悪いと受け取られてしまうのでしょうか?また相手に対し、気持ち悪いと思われない話し方はあるのでしょうか。

性同一性障害の当事者が知らず識らずのうちにやってしまう誤解を生む話し方

「気持ち悪い」と思われてしまう原因はなんなのか。私は自分のことを正直にすべて話してしまうことに原因があると考えています。

「自分は性同一性障害であり、身体は男性だが心は女性」

こう説明するのが性同一性障害の当事者の中では一般的ですが、これだと相手に下記のような印象を持たれてしまいます。

  • そんなこと言っても、この人の身体の性別は男性
  • 男性なのに女性になりたがっていて不自然だ、気持ち悪い

このように、性同一性障害だということより、「男が女になりたがっている」や「女が男になりたがっている」人と誤解されていることが問題なのです。

性同一性障害が気持ち悪いのではなくて「男が女になろうとしていること」に嫌悪感を抱く人は多い

身体とは逆の性別になりたがっている人。
性同一性障害であることを説明する時、こう誤解されてしまうことが一番損だと私は考えています。

では損をしない話し方にはどのようなものがあるのでしょうか?

性同一性障害の人のための「自分が損をしない話し方」

ポイント1:もともとの身体の性別についてはっきり言及しない・曖昧にしておく

これはそもそもの考え方の問題ですが、自分の身体の性別に違和感があり、性同一性障害という時点で、自分の性別が「男女」といった定形の性別に当てはまっていない可能性がある考えてもいいと考えています。

自分の身体の性別は男性だ

○出生時は男性として取り扱われたが、自分の身体の性別が男性でない可能性がある

最初にこう言えると、相手の印象はかなり変わってきます。
なぜなら、自分のわがままで性別を変えようとしている訳ではないということが相手に伝えられるからです。

私自身、染色体検査を行いましたが、完全に女性型であり、身体的には女性と同じです。
しかし世の中には、自認する性別と身体の性別が男女逆転した状態の性同一性障害で苦しむ人がたくさんおり、「そういうことが起きることがある」ということを知ってからは、自分の性別が身体の性別になってない状態なんだなと考えるようになりました。

自分に関するルールは自分で作ってもよい。そのルールを運用して、自分が不利になる立場を回避すればよいのです。

ポイント2:身体の性別の方で生きられないということを伝える

身体の方の性別で生きることができないという必然性を相手に伝えられると良いと思います。
ただ、これを言うタイミングはちょっと重要です。

可能であれば、「身体は男性だが、今から女性で生きようとしている」状態ではなく、
もう「既に周囲からも女性として認識されてしまっているので、これからも女性で通らないと困る」状態で言えるのがベストです。

「学生時代、男性として入学したが、途中から女性として扱われるようになりそのまま卒業した」など具体的なエピソードが話せると尚よしです。

ずっと周囲の理解がある環境で生きてきたのに、いやいやそれでもあなたは男性でしょ?と言ってくる人もいるかも知れませんが・・・。そういうときは、もはやその人自体が「仲間外れ」なんだなと考えましょう。

性同一性障害を「隠し通すこと」だけが道ではない

会社など周囲の人間に自分が性同一性障害であることをカミングアウトしない「完全クローズド」を選択する人は非常に多いです。LGBTフレンドリーを謳っている企業・組織であっても、実際は言い出せる雰囲気ではないといったことも少なくありません。「暗黙のルール」を破らないほうがいい場合もたくさんあります。

このように、クローズドのほうがよいと考えるのであれば無理に言う必要はないと私も考えています。ただ、100%気づかれずに済む環境はありません。気づかれてしまったときに説明ができるように準備はしておいたほうがよいと思います。

しかし、性別適合手術を受ける前であれば、自分が性同一性障害であるということを言わないといけないシーンはいくつも出てきます。

性別適合手術を望まないが、身体の方の性別で就業するのが困難であるケース

金銭的な問題で今すぐ性別適合手術をすることが難しいが、ホルモン治療を開始しており、戸籍の性別で扱われることが困難になっているといったケースです。このような場合は「自身が性同一性障害の当事者だ」と言う必要があります。

就職活動をする際、現在の性別とは異なった性別の学校(女子校・男子校)に在籍していた過去があるケース

就職活動をする際、相手先企業に履歴書を読まれた時点で、「性同一性障害の人である」と気づかれてしまいますが、学歴に問題がなければ特に何も言われない可能性は高いです。
しっかりとしたキャリアを積んでいるのであれば、そのまましれっと何も言わないのがいいと思います。

ただ、それなりのレベルの高い会社を選べる人の場合、性同一性障害に関して偏見や嫌悪感からではなく、その人の実力を推し量るためにあえて質問するケースはあると思います。

他の面接質問と同じで「その人の頭のよさ」を見ているだけなので、「自分が損をしない、頭の良い回答」ができれば問題ないと思います。別に差別されているから質問されているわけではないと考えることが大切です。(本当に差別するような会社があれば、すぐに見切りをつけましょう)

個人的には、そこに自分の意志はなく、「医者に性同一性障害だと診断されて、性別適合手術を受けた」くらいの軽さがよいのではないかと思います。性同一性障害であることの話題をいかにさせないかは重要なテクニックです。

大切なのは「言い方」と「言うタイミング」

以前、勤めていた会社の営業部長さんの言葉です。
お客さんに伝えるときに大切なのは「言い方」と「言うタイミング」。

言い方が悪ければ、誤解を招いてしまうし、言うタイミングが悪ければこれもまた誤解を招いてしまう。

ちなみにこの営業部長さんとは一切、性同一性障害の話はしていませんが、思わぬところから大きなヒントをもらったなと感じました。

性同一性障害が理解されないと一方的に悲観するのではなく、「どうしたら伝わるか」、「不要な誤解やトラブルを避けられるか」考えられることはたくさんあります。

このように1つ1つ現実的なやり方を積み重ねて、自分の自信にしていくのがよいと考えています。

コメント

  1. ライラックブルー より:

    配偶者にトランスジェンダーだと言われました。情報を集めていく中でトランスジェンダーの人やノンバイナリーの本人だけを「当事者」としてサポートしているサイトしか見たことがありません。言われた側だって悩むんです。でもこのコラムでなんだか心が緩んだ感じがします。ありがとうございます。

  2. Miyazawa より:

    ライラックブルーさん
    コメントありがとうございます!
    私は性同一性障害の当事者ですが、「性別違和があるのはその人の主観」だと誤解されているのが悔しくて、このブログを立ち上げました。
    言われた側を悲しませたくない、困らせたくない、そのためにはどう伝えたらいいのか?を何年も考えてきて、やっと自分も相手も悲しまない伝え方が見えてきたなという状態までたどり着きました。
    何かしらお役に立てたのがとても嬉しいです!これからも精進して参ります。

タイトルとURLをコピーしました