性同一性障害で自分の中に男女2つの人格があるはめずらしいことではない

自分の中に男女2つの人格がある。どっちが本当に自分?

性別不合の当事者の方で、「どうも自分の中に男と女の人格の2つがあるような気がする」という話はたびたび聞きます。
これは別に珍しい話ではにというのを本日お話したいと思います。

先日、Yahoo!ニュースでも性同一性障害(FtM)の当事者の経験が記事になっていましたが、そのことが具体的に書かれていました。

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2つの人格を持つということ-人格の不統合が起きる可能性がある

私も、先程のYahoo!ニュースに登場した方とまったく同じことが起きていました。

本来の性別は男性、でも体が女性なので女性として生きなければいけない。
この状況が2つの人格を生んだのです。

私は15歳くらいまでは本来の男性の方の人格の自分で生きていましたが、15歳以降はもう大人の女性として扱われていくようになったため、本来の男性の自分の人格とは別に、女性の体に合った女性の自分の人格を自分で作り上げてしまったのです。
私は女性の人格を「外向き用人格」として作り上げ、主に女性として飲食店のアルバイトをするときに使っていました。
また大学のレポートを書くときなどは女性の見た目は使わないのでこの人格は使いません。体が伴わなければ本来の男性の自分の人格でオッケーなのです。

なんとも器用なことをやってのけたものです。自分の中に二人の人間を住まわせるなんて。
しかしその結果、本来の男性の方の自分を使う機会が減って、自分はこういう人間だという主張がどんどん弱くなっていってしまいました。

記事で登場した高橋瑞佳さんは、一度体の方に自分を合わせ、20代で男性と結婚。しかし31歳で「本来の自分で生きていこう」と決心し、男性として生きる道を選んでいます。

私自身、体の方に合わせて作った女性の人格で生きようとした時期がありましたが、生きることが極めて困難だったと感じています。
結局、もとの男性の自分にもどってしまいましたし。
また、男性の自分、女性の自分どっちが本当の自分なのか自分でも長らく判断がつきませんでした。
その当時は性同一性障害という概念を知らなかったし、体の性別が女性なのだから自分は女性だとずっと思っていました。

もっとも重大な問題があります。
この状況では自分の人格がうまく作れないのです。子供から大人にかけての成長する過程も大きな悪影響をもたらします。

例えば、男性として生まれ、自分の性別を男性だと自認している人が、女性で生きることを強制され、服装まですべて女性のものにしなくてはいけなかったとしたらどのようなことが起きるでしょうか?
当然、本来の「自分は男性だ」という意思は押さえつけられて、本来の自分はこういう人間だという認識がうまく育ちません。
私はこの状況で15歳から28歳までを過ごしました。

記憶飛びの原因

もう一つ高橋さんの記事で気になったことは「記憶が飛ぶ」です。
実は私も、性同一性障害ということを知らずに女性で就職してしまった5年間の記憶があまりありません。

これはどういうことが起きているかというと、おそらくですが
男性の人格と女性の人格では脳の使っている部分が異なるのだと思います。

男の自分で生きているときは、女の自分で生きていることは思い出せないし、
女の自分で生きているときは、男の自分で生きていることが思い出せない。

まるで”別ストレージ”で記憶が入ってるようでした。

私は、男性のときの自分と女性のときの自分の性格がまったく正反対というもの感じてます。
同じ人間なのにでこれほど差があるのはおかしいと前々から思っていました。

よく、「男と女では考え方が違う」とか、「女の気持ちは男には分からない」と言われますが、
それは案外その通り。自身、男の方の自分と女の方の自分を比較して、男女の考えってこんなに違うのかと感じたものです(笑)

本来の性別でない自分で生きてしまったことや、自分に記憶のない時期があったのかと考えると今でもそのショックは大きいです。
しかし高橋さんのように同じ苦しみを経験した人が自分以外にもいる。そのことが勇気を与えてくれます。
苦しんだ時期もありますが、リスタートしたあとの人生の方がとても大事だと感じています。

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